「古道具」と「古美術」

古道具好きには、
工房で使っている道具の中にも
目に留まるモノがあるらしい・・・

木工作品より気にかかる?(失礼しちゃうな・笑)

糊(のり)漆を練るために使っているヘラだったり、

ヘラに代用しているパレットナイフは、母がたの祖母が
油絵を書く時使っていた形見、
「欲しい」と言われても困っちゃう!


「漆の練り台なんて、高値がつきますよ!」

「じゃぁ、このエプロンも?」

「エプロンは価値ないです」だって(シュン)

どうやら【古道具商】は、
「無作為な道具」の美しさにひかれる様子。
言わんとすることは、なんとなく理解できます。
僕だって「デザイナーズブランド」より「アノニマス」なモノの方が好き!

でも、僕の仕事は作家業・・・
「無作為」では、そもそもモノが作れません。

そんな「悩める木工」に、
李朝時代の「高麗茶碗(斗々屋)」を持たせてくれ、
「この茶碗にも作為があったと思います」と淡々と語ってくれた
【古美術商】に、
「僕も、無作為と作為のはざまを歩みたいと臨んでいます」
と迫り寄るのが精一杯。
「目から鱗」の出会いになりました。

【古道具商】と【古美術商】の違いについても丁寧に教わり、
掌(たなごころ)で「斗々屋・茶碗」を覚え、
「作為と無作為のはざまの形」を学ばせてもらいました。

聞けば、
まだ古美術を扱い始めてまだ数年なのだとか・・・
「本物を見極める眼を養うためには、一日が24時間じゃ足りません。」
と話しかけてくれた店主。

そのキラキラした瞳のまぶしさに、
木工を志していた頃の自分の姿が重なりはするものの、
木曾山中で友と語り明かしていた夢の内容を思い返そうとしても、
30年という時間の中で置き去りにしてきたのか、
思い出すことさえできません。
今では、
夢を語り明かせた時間を持てていた頃の方が夢のようです(笑)

仕事に追われる毎日に、
「僕は自らを由として生きているのだろうか?」
古美術商の熱量に、
心まで揺さぶられちゃったのか、
その夜は、なかなか寝付けませんでした。

真っ直ぐな瞳。
揺らがない姿勢。
何かを得るために何かを捨て去る覚悟。
三拍子そろった今後の店主の活躍が楽しみです。
店の名は「よろずや・のゆき」
【古美術】を愛する方にご紹介します。
※倉敷・アイビースクエアから直ぐ(予約制)

















個展(静岡・Neuf)のお知らせ

2019.5.18(土)-25(日)  ※21(火)休
     山本美文展

  11:00 ~ 19:00
(場所)Neuf:静岡市葵区鷹匠3-10-10-2F
     http://www.a-neuf.com

山からの恵み


「花冷え」の寒さが長かったせい?
 昨年来の天候不順のせい?
例年の1か月遅れで
裏山(竹林)の筍(たけのこ)の収穫期になりました。

「今は貧乏、かつては極貧」と謳(うた)う木工の自慢は、
どんな所でも生き抜く術(すべ)を心得ていること!

信州時代は、その日の食材を
朝一の森から調達することが日課。
春の山菜、畑の野菜、秋のきのこ、冬場の保存食・・・
沢からの水と大地の恵みをライフライン?に生きてました。

その頃培った嗅覚をもって裏山を歩くと、
季節の山菜が僕に向かって香りを放ちます。
クンクン

「県南の蕨(ワラビ)は堅い」
っていう人もいるけれど、
北斜面の草むらに生える蕨なら美味しく頂けます。

好物のノビルだって採れるし、
タラの芽やウドも裏山から調達します。
昨晩は、

旬の筍(たけのこ)にさやエンドウと干しアミを入れ、
昆布だしから煮て夕食に。
乾燥機で干したアミはスカスカして味もないけれど、
天日干しのアミなら煮出しても美味しいし、
だしに深みが出て、
手元のお酒まで進みます!

経済が豊かになると、
沢山の知識や情報は得られるようになりますが、
貧乏には役立ちません(笑)

知恵こそ生き延びるための命綱!!!







白い春

桜が舞い、
利休梅の白い春がやってきました。

畑には

蝶と見間違う 
さやエンドウの花

華やかさはないけれど、
白い春が暖かな春の陽射しを呼び込んでくれます。


白い屋根色のミニに降り注ぐ
瀬戸内の陽光が

まぶしい季節を迎えます。







「簡素な美しさ」を愛でる心



木曾の専門校時代の教官に、
「シンプルなデザインを学びたいなら、
 シェーカー家具を題材にしてみなさい」
と薦められて以来、
気になるシェーカー家具を復元しては
ものづくりの手本としてきました。



頭で覚える知識に対して、
手から学ぶべきは 
誠実なものづくりの姿勢にあります。

組みあげる度に
シェーカー教徒の唱えていた一言一言が身に沁みます。

Be faithful with your hands.(自らの手に誠実でありなさい)

Do your work as though you had a thousand years to live,
and as if you were to die tomorrow.(千年生きるつもりで仕事しなさい、
もし明日死ぬとしてもその仕事を)



「デザイン」という概念を持たないシェーカー・クラフツマンは、
「有用性」から必然の形を探っていたのかもしれません。

Beauty rests on utility.(美は有用性に宿る)

All beauty that has not a foundaition in use, soon grows distasteful,
and needs continual replacement with something new.
(有用性に支えられていない全ての美は、やがて味気ないものになり、
 いつも何か目新しい代わりのものが必要になってくる)

産業革命以後の経済観念と誠実な手仕事が結び付きづらい要因まで
読み解ける言葉ですよね。
(そして、何よりも経済が優先される我が国で誠実な手仕事を続けることの
 難しさを知ります・笑)

ネット上には挙がらないはずですが、
シェーカー様式の家具の注文が続いております。
(工房の仕事を手伝ってくれそうな方を求人したい!!!)











プロフィール

HN:
山本美文アトリエ
性別:
非公開

P R