形やディティールの違いで
自分らしさや目新しさを特質化していく作業を
「デザイン」と呼ぶのなら、
「デザイン」の仕事は、僕の工房から遠い場所にある。
「家具」は読んで字の如く、「家」の「具」材。
うどんで云えば「ねぎ」や「あげ」、
ラーメンならば「シナチク」や「ナルト」といったところ(笑)
とりたてて必要ではないけれど、
無いと寂しさを覚えるような存在感を放ち、
具がうどんやラーメンの味に深みをあたえてくれるように、
静かな佇まいの家具が、
日々の暮らしにやすらぎを感じさせてくれたりもする。
「目立つかたち」には求心力があるけれど、
存在感が強すぎるものは、やがて「飽き」がくる。
目立たないけれど、
脇役として存在感を放つ具材は、
主役を引き立てるために添えられるもの。
家具とて同じこと。
主役はそこに暮らす人。
使い込まれる程に愛される家具の美しさは、
人の営みの中に隠れていく。
「アノニマス」を口にすることは容易だけど、
「アノニマスな美しさ」を表現ことは難しい。
「もともとある美しさ」を引き出すために、
木工は、木のことを学び、
木目の美しさを活かし、
気温や湿度に応じて木が収縮できるような
組み手(仕口)を刻む。
時にはシェーカーの工法に学び、
時には日本の伝統的手法を取り入れながら。