器とモンブラン


ケーキの王様「モンブラン」は、
フランス語で「白い山」の隠語を持ち、
アルプスの雪山・モンブランを表しています。


先日 会期を終えたばかりの「しろたえ」展。
展示会に併せた料理会で出された
モンブランの写真が、
料理の写真と共に届きました。
(撮影提供:オカズデザイン)

まるで絵でも描くように器に盛られたモンブラン。
(フォークまで一枚の絵の中に描かれているかのようですね)


遊び心をもって配置されるケーキと
器の余白が醸し出す出すハーモニーは、
料理人と器の作り手との
魂の触れ合いから生まれる形。

ケーキの脇役という立ち位置の器たちが、
「朝日の如く雪山(モンブラン)を照らし出してくれるはず!」と念じて
貸し出しましたが、
その役目をちゃんと受け止めてくれた
吉岡さん(オカズデザイン)の豊かな感性が見てとれます。


様々な白漆の表情に合わせた
オカズデザインの世界観が、
ひとつの器の中で
詩的に表現されています。




「しろたえ」展・オカズデザインの料理会

東京展(オカズデザイン:カモシカ)の在廊を控えたため、
残念ながら料理会には参加できませんでしたが、
当日のメニューと
料理の写真(オカズデザイン撮影)が届いたので、
一緒に味を妄想しましょう~~~
(器使いも気にかかります!)

コースは、「冬の白」をメインテーマに、
「白のポタージュとパン」から始まったようです。

              (敷板として白漆の角皿が使われています)

(こちらのスープバージョンもあったのかな?)





二品目は、「小さなタルトと果物」

(白漆のオーバル小皿・上)が使われたり、
(塗り分け角皿・下)だったり。






三品目は、「三つの冬野菜」
大根ステーキ
白人参のかき揚げ
豆腐

 (白漆のリム皿)






四品目は、「甘鯛のラザニア」

 (白漆の角皿)





最後に、
モンブランと十二月のコーヒーor紅茶

(白漆ハツリオーバル皿)

モンブランは、
器の形に合わせて、絵を描くように盛られた何枚かの写真が届いたので、
次回「モンブラン盛り付け特集」記事でご紹介致します!


プロフィール

profile

「低空飛行を愉しむ」が信条。
    誰よりも低く、
    地面すれすれを飛び回っていたい。
    いつだって
   一番遠く離れた場所から青空を見上げるために。
                       
山本美文

1959年      岡山市生まれ
                  ひとりの画家との出会いをきっかけに信州に移住し、
                  木曽山中で10年間木工を学んだ後、故郷の岡山に工房移転。

2006年    「シェーカー様式に学ぶ」と題した展覧会を企画し、反響を呼ぶ。
                   同年、倉敷のクラフトフェア立ち上げに参加

2013年より「牛窓クラフト散歩」ディレクターを務める。

2016年       手仕事の詩(うた)をまとめ、
                   短章の「パンセ」として発表。

          そもそも美しいものの形が存在するのではなく
          それを美しいと感じる人の心に美は宿るもの
          時を結び
          美を伝承する鍵は
          いつだって
          君の心の中に置かれている

早川桃代+山本美文 二人展

「しろたえ」展(画家・早川桃代×木工・山本美文による二人展)
2020.12 / 11~15日
(場所)オカズデザイン・カモシカ tokyo
              東京都杉並区下高井戸5丁目5-23
(問合せ先)03-6304-6270

白をメインテーマにした「器と絵と料理」の空間を
お楽しみいただければ幸いです。


※会場が混み合わないように、予約入れ替え制も
   考慮されているようですので、
   カモシカにお問合せの上 ご来場下さい。 





                         3種のカフェオレボウル






                                     白漆パスタ皿






                                        白漆ケーキ皿







                                      白漆の菓子皿






                                      白漆ハツリ椀


他にも各種白漆の作品を展示しております。
(展示期間終了後、オンラインからの販売も計画されているそうです)
 
 工房スタッフの手ほどきを受け、
 インスタグラム(nomi_tonton)からも作品をご覧いただけるようになりました。

バランス感覚

美大を出たわけでもなく、
才能に恵まれてもいない自分が、
30年以上もの間 木工を続けてこれた謎は解けてはいませんが、
美しい身体動作をスキーに求めていた若き日の「美」への憧れが、
住む世界は変れど、
今も僕の原動力になっているような気がします。

何でも型から導入したがる指導法が性分に合わない僕には、
腕の構えや腰の位置、目線や膝の角度?等の形ばかりを指摘する
40年前のスキーメソッドが馴染めず、肌にも合いませんでした。
大学4年生の時に、たまたまイタリア国家検定員のスキー資格を取得して帰国された
スキースクールの校長からの誘いを受け、
そこで(働きながら)教わったイタリアのスキーとの出会いから
僕はスキーを生涯の仕事にしたいと思うようになります。

「速いものは美しい」

「速いスピードで自在にコントロールできるようになれば、
必然的に美しいフォームになっている」という考え方が、
僕に「必然性」という理念を植えつけてくれます。
(はたちの頃の山本君)
そして、
美しい身体動作の究極は、
アンバランスの中でとろうとするバランス感覚にあることを学びます。

デザインを先行させず、レースで培った速さを
車体に落し込むフェラーリ(イタリア車)の美しさも、
きっと同じような理念に基づいているのでしょうね。
「変わらない美しさ」って、どんな世界でも揺るがない精神に帰するものがあります。

10代の頃から夢中になったジャズの不協和音やアドリブの世界観。
20代で知ったイタリアのスキーメソッド。
共通しているのは、
スピード感の中で生まれる「アンバランスなバランス」感覚。

ストックを鑿(のみ)に握りかえた今でも
僕が木工ロクロや漆塗りの世界に魅かれる理由は、
整えることで生みだされる工芸の美しさの「はなれ」にある、
整えることのできない美しさ(アンバランスなバランス)を表現してみたい
という願いを持ち続けているからなのかもしれません。
































プロフィール

HN:
山本美文アトリエ
性別:
非公開

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