曲げわっぱ

シェーカー様式のオーバルボックスが、
構造上、日本の気候風土に適していない事を
口にする木工は少ない。

湿度がほぼ一定している場所で使う分には問題ないものの、
日本のように、
湿度の高い梅雨と乾燥する冬を繰り返す気候の下では、
枠(わく)にはめ込んだ木が伸び縮みしてしまうため、
はめ込んだ天板と枠との間にすき間が生じてしまう。



その点、
日本で古くから使われてきた
「曲げわっぱ」は良くできている。

檜(ひのき)の天板が伸び縮みしても、
すき間が生じない構造に。
更に漆の特性を活かし、
汁ものもこぼれないように仕立てている。
(日本の気候風土に適応させた職人の技が光ってる!)


アメリカや日本に限らず、
「曲げわっぱ」は世界中の職人によって愛された工法。
目にすると、ついつい買い込んでしまうのは、
その国々の職人の技や構造(工法)が気になってしまうから・・・

蓋(ふた)を開けると

ハッとさせられるほど
鮮やかな色彩感覚のフランス製。

ビーチ(ぶな)材を曲げている。
(何やら、中身の記載らしき文字が)

蒸して曲げたのかな、
茹でて曲げたのかなぁ~?
天板には、木が伸び縮みしにくくなる工夫が施してあります。


日本で売られているシェーカー様式のオーバルボックスには、
枠と天板の間にすき間が生じないよう、
天板に合板をはめ込んでいるものもあります。
薄い板を張り合わせて積層する合板は、
素晴らしい発想に基づく革命的工法だったと思うのですが、
貼り合わせるためのボンドの成分や耐久性が気にかかります。

そもそも
シェーカー様式から曲木技術を学びたいと思ったのは、
家族が使うための「お弁当箱」に結び付けたかったから。
プラスチック製じゃ
せっかくの献立が蒸れちゃうし、
木の仕事をしている父親が
娘にプラスチック製のお弁当箱を持たせちゃ
「口だけ木工番長」になっちゃうし(笑)。



水気に弱い合板を天板に使うことなく、
汁漏れしない弁当箱に仕立てるために、
世界中の曲木職人の技を盗んで(歴史に学んで・笑)、
漆を施しています。










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山本美文アトリエ
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