「端材(はざい)利用」=木工の間で時折耳にする用語。
この言葉を聞くたびに
やるせな~い気分に陥ってしまう。
「家具を作った端材で作る小物」
なんて
そもそも、発想がくたびれている⤵
(小品を下に見てるとしか思えない!)
木工としての力量は、先ず
1枚の板から部材を取るための
「木取り」という作業で 試されるもの。
その板の木目や木理を見定めながら
家具材と小物の材を同等に扱ってこそ、
小さな部材に至るまで
「適材適所」という光を浴びせることができる。
端材を出さぬよう
大小(家具&小物)の部材を併せて木取っていくことが大切だ。
栃(とち)の木は、
板目でも柾目でもない
波状に輝く模様「杢(もく)」が現れると銘木扱いされ、
「縮み杢」と呼ばれる模様は特に珍重される。
鉋(かんな)をかける前の状態ではくすんでいても、
ひとたび鉋をかけると、
キラキラ輝く絹肌に
工期を短縮する(経済を優先する?)あまり、
鉋(かんな)を使えない大工が増えてきているのだとか・・・
いずれ、
鉋を使わない家具職人も出てくるに違いない(既にいるのかも?)
鉋(かんな)だって、
「超仕上げ」と呼ばれる大型機械が出現して以来、
昔から使われてきた鉋を「手鉋(てがんな)」と
呼ばなくてはならない始末。
「乱菊」と刻印された鉋の刃(左手)は、
工房で30年ちかく研いできたもの。
(随分短くなっちゃいました)
このまま研ぎ続ければ、
数年の内に鉋の寿命を全うする(はず)。
刃物の良し悪しはよくわからないけど、
上手く研げた刃で木を削った時の爽快感はたまらない!
鉋クズまでいとおしく思えちゃう(笑)
鉋をとおして木の性質を覚えていくことでしか
「木工の手」は育ちません。
鉋を使わない木工がまかりとおるご時世では、
「正直な手仕事」だってフェイクされていくに違いない。
「手仕事風の仕上げ」とか?(怪し~い)
7月16日からの広島(マノス・ガーデン)展には
手鉋で仕上げた栃の木のカッティングボードを
間に合わせたいと思います。
【シェーカー様式・暮らしの道具】 山本美文展
2016.7.16(土)~23(土) ※初日在廊予定
11:00-18:00 最終日は、16:00まで
(賛助出品)
衣: アトリエ ユヌプラス
かばん: 一粒舎
竹かご: オントルポ
鉄: 中村智美