外は寒くても、
瀬戸内の陽射しが春の調べを伝えてくれる。
そんな中、冬眠する動物たちより先に
春を感じとるのが、オープンカー乗りの心得らしい(笑)。
早速、一台の車が工房を訪ねてきた。
遠くから伝わってくるエンジン音を聞くだけで、
その車が工房に近づいて来ていることが判るほどの
音色を響かせながらやってきたのは、
「アルファロメオ・スパイダー」
友人が乗るイタリア車だ。
何でも アルファロメオという会社には
音の調律師?がいるとかで、
エンジン音を調整しなくては
本国で売れないというのだから、
実にイタリアらしい。
静かであることが快適という日本の車づくりとは
イタリア人の観念は根本的に異なり、
「ドライブが楽しくなるような気持ちいいエンジン音」を
求めていくのが仕事なのだとか。
イタリア車好き曰く、
「フェラーリはその極み」というのだから、
その音色に浸ってみるのも面白いのかも。
最も、
貧乏木工の僕には、この先ずっと
音を愉しむくらいしか
ありえないのが残念だけど・・・
ボンネットに青空が映り込むほど
磨かれた車の乗り手(友人)は、
建築に従事しながら、
今年の5月に10回展を迎える
「フィールドオブクラフト倉敷」
実行委員長としても
献身的に岡山のクラフト界を支えてくれている。
「フィールドオブクラフト倉敷」立ち上げのきっかけは、
12年前、
あがたの森(クラフトフェアまつもと)に
彼を誘った折 かけられたひと言からだった。
「クラフトフェアの精神を岡山に伝えたい」と
熱く語った彼の言葉の裏には、
ものを作る人間として大切な
クラフツマンシップを育てる場を
岡山に求めているように感じた。
それまでにも何度か岡山でのクラフトフェア開催を
求められたことはあったけれど、
人集めのイベントの誘いに
僕の心が傾くことはなかった。
ものを作る人(作り手)と使う人(使い手)が
喜びを分かち合い、
共に育つ場所づくりが
クラフトフェアの原点なのだから。
仕事柄、
建築家との交流に恵まれ、
事あるごとに 工房に集まっては
皆でお酒を酌み交わしていた僕たちは、
知らず知らずのうち
気ごころ知れた仲になっていた。
そして、夜会(宴)を重ねる中での話題は、
生活のあり方や工芸(クラフト)にまで及び、
深夜まで語り合っても
話が尽きることはなかった(あの頃、僕たちは若かった・笑)。
考えようによっては、
建築家はオーケストラの指揮者にも似ている。
孤独と向き合いながら、タクトを振ることで
各パート(建築家は、大工や左官)の士気をたかめ、
皆をまとめあげていく。
もしかして、
この仲間たち(建築家)と手を組んで
クラフトフェアを立ち上げたら、
建築や工芸という概念を越え、
「豊かに人が生きる」ための指針(タクト)の下で
クラフトフェアがひとつにまとまるかもしれない。
いや、まとまる筈!
それに、
自称「一匹狼」(※従来の建築家路線とは一線を引いていた若手)
の建築家がそろったら、
どんな実行委員会になるのか
興味津々だった。
今年(2015)5月に10回展を迎える
「フィールドオブクラフト倉敷」は、
そんな小さな歴史(工房)から立ち上がったクラフトフェアだ。
世代交代を願い、
実行委員会を一足先に脱会した僕のもとに
10周年記念企画の依頼があったのは、
実行委員長からのはからいだと感謝しています。
倉敷での作品展示(販売)は日程的に無理だけど、
芝生広場での食と器の企画展では、
これまでクラフトフェアを支えてくださった
岡山の皆様に感謝の意を込めて
素敵な空間を提供する覚悟です。
お楽しみに!
4月の「牛窓クラフト散歩」では作品の展示・販売を致します。
春の岡山はクラフトフェアめじろ押し!
2015.4月18日<土>・19日<日>「第2回牛窓クラフト散歩」
5月16日<土>・17日<日>「第10回フィールドオブクラフト倉敷」
※倉敷では、10周年特別企画のみ参加(作品の販売ブースには出展しません)
「オカズデザインの料理を山本美文の器で楽しむランチ」
両日各2回(11:00~12:00 / 13:00~14:00)
¥3000(要予約) 予約受付5/13・14(10:00~16:00)Tel.086-275-2902