30数年前、シェーカーヴィレッジを訪ねた知人が、
「世界中で作られているシェーカーのコピー品について
どのように考えられていますか?」
とシェーカークラフツマンに質問したところ、
「真似されることについては問いませんが、
『シェーカーオーバルボックス』と呼べる品は 、
我々 シェーカー教徒が作ったものだけです」と応えたそうです。
シンプルな造形を求める僕に、シェーカーの習作を勧めてくれた
専門校の教官からも同じような内容を耳にしていた記憶があります。
以来、
シェーカーをベースにしたリ・デザイン作品であっても
品名には、敬意を持って「シェーカー様式」もしくは
「シェーカースタイル」と書き加えるように心がけています。
オーバルボックスを見て、
日本人の多くの方が頭に描く「曲げわっぱ」
美しい仕事が施されている「曲げわっぱ」を
見かける機会も減りましたが、
昔の職人によって作られた
わっぱの仕事ぶりには惚れ惚れしてしまいます。
檜(ヒノキ)の柾材を持ち運び易い形に曲げ、
天板&底板が収縮しても汁が漏れないような構造に。
継ぎ目には桜の皮や漆が使われ強度を保っています。
僕は、シェーカーオーバルボックスをリ・デザインして、
「わっぱ」に匹敵するお弁当箱を作り上げたいと思っています。
天然木の天板&底板が湿度によって収縮することで、
曲げた外枠と中にはめ込む板との間に隙間ができることを避けるために、
合板を使用しているシェーカー様式のオーバルボックスが増えているようですが、
洗われたり水に浸されたりするお弁当箱には、
水気に弱い合板を使うわけにはいきません。
それに、合板に頼るようなものづくりでは、
かつての「わっぱ職人」に笑われてしまいます。
合板を使用しなくても、
無垢材の収縮に対応できる日本人の考えた
伝統技法を用いて作った
「シェーカー様式:漆のお弁当箱」
手間のかかる分、安価な値札は付けられませんが、
末永くお弁当の時間を楽しみにしてもらえる場面を願いながら
材料を厳選し、ひとつひとつ製作しています。
真心を込めて作られるお弁当に対して、
作り手の誠意が試される仕事になります。
色は、朱と赤の漆二色。
(食欲増進効果のある色合いに)
上が朱色
下が赤色
プラス
白漆のお弁当箱もオーダーで受けています。
大きさは(中)と(小)
深さがあるので、女性には(小)で十分なのかも?
高校生男子用(重箱用)に(大)も作ります・笑
水が漏れないことから、
茶会用の水指を頼まれたことも。
ワインクーラーボックスとして使われたりもしているようです。
世の中には、
お洒落な発想のできる方がいらっしゃいますね。