未来を夢見る人へ

情報化(ネット社会)が進むにつれ、
木工房を開設する人の数は減ってきているという・・

僕のような「その日暮らし」が、若者の夢を邪魔してるのかも?

「木工作家志願」をネットで検索したら(きっと)、
①「初期投資に費用が必要」とか、
②「苦労する」とか、
③「食べていけない」など
将来への不安材料が次々出てくるのかな???


僕だったら、
①「鋸(のこぎり)と鉋(かんな)と鑿(のみ)さえあれば、物は作れます」とか、
②「作家は、苦労して育つたくましさに支えられます」とか、
③「田畑を耕せば、食べてはいけます」など
その日その日を懸命に生き抜く術を身につけてほしいと伝えるだろう。

「作ること」=「暮らすこと」



「近い将来、工房の仕事に携わりながら木工を学びたい」と
   名乗り出てくれた人との夢の架け橋を渡す食事会


コロナ感染症の予防対策で大皿に料理が盛れないため、
料理ごと小皿に分けて配膳。



地酒を買い込み、
奥様が持ち寄ってくれる料理を楽しみに
明るいうちから乾杯するつもりだったけれど、
急遽 当日夜の打合せが入った僕の前にだけ
「ノンアルコールビール」・・・トホホ



こうなったら食べ尽くすしかな~~い!

もぐもぐ



もぐもぐ

木工に希望を見出そうとする人の姿が、三十数年前の自分と重なっていく・・・
手持ち無沙汰(ノンアルコールビール)の僕は、食べてばかり・・・(親方失格宣言)

キッチン用具


                              
工房で使ってる包丁用に、
狭い穴に差し込むタイプの包丁スタンドも考えましたが、
空気が乾燥しているヨーロッパ諸国では何ら問題なくても、
湿度の高い梅雨を越す日本の気候風土では、
スタンド内(四方を囲われた溝の中)の湿気やカビが気になります。

普段から、
鉋(かんな)や鑿(のみ)の保管に気をつけている
僕たち木工にとって、刃物の錆(サビ)は大敵!!

湿気た所に刃物を置かないことにも気をつけますが、
保管場所には様々な工夫を凝らしています。



工房で作る包丁スタンドは、
上から据え置くタイプに。


包丁を立てる溝の中にアールをつけ、
包丁の刃先と根元の2点で包丁を支えます。(刃が直接木に触れないように)
たとえ溝の中が濡れたとしても、
刃と木の間に隙間があるので、直ぐに乾きます。

研いだ刃も長持ちするはず。






カッティングボードは、

バケットが切れるくらいの長めのサイズが人気です。

平澤まりこさんとコラボした作品を使ってみて気づいたのですが、
絵が入ることで、
裏表を間違えることがなくなりました・笑


持ち手のデザインは、
とにかく持ちやすく、


滑りにくいノミ痕と、



掌(てのひら)が痛くならないカマボコ面に。

「かしこまらない」「かしこまれない・・?」

オカズデザインのお二人との打合せに引き続き、
来年の北京(中国)での個展の打合せに。

「かしこまった場」での「かしこまった会議や打合せ」が何より苦手。
ましてや、
初めて会う人(外国の方)との打合せとなれば、
想像しただけで眠れなくなっちゃいそうだったので、
「打合せの前夜、ごはん(お酒?)でもいかがですか?」と、
いつものように気軽に話せる場を設けました。

仕事の「オン&オフ」のスイッチを失っている作家業ゆえ、
仕事のオフを楽しんでいる人達が集う(にぎやかな)お店に入ると、
自分のような者が来るべき所ではない気がしてしまうので、
寄れるお店も限られてしまいます・・・
(知り合いのお店ばかりを渡り歩いてしまうのも、 それが原因なのかな?)

明るく照らされ、
漆で汚れた(傷んだ)指が目立つようなテーブルのお店も
実は苦手です。

指を汚さないのが「一流の漆芸家」なのだそうですが、
僕のような「三流」の指は、
泥遊びの後の子供の指のよう(悲)

冷たい水で刃物を研ぎ続けるうちに
あか切れしてしまうささくれに丈夫な漆の「ネイルアート」???

ポケットに手を入れたり
人前で指を隠す癖にも気づかれないようにはしていますが、
真っ白なテーブルのお店なんかに入ると、ついつい無口に・・・

バブル期に「きつい・危険・汚い=3K」と
揶揄された同じ職人たちが、

街の片隅の入り易そうなこじんまりした店構えを
選んでしまう心中まで今ではよくわかります・笑

(バブル期なんて二度と来てほしくないのです!)


来年の北京での個展に向けての打合せは、
8席ほどの小さなお店を選びました。


「山本さんのブログ、最初から全て読みました!」

「これまでに何文字書き留めてると思いますか?」

「天ぷらと地酒」の魔力?で打ち解けていた僕たちは、
翌日の工房で企画書を練り直し、
心置きなく意見交換(打合せ)できたのでした。






「美味しい打合せ」

12月の東京展(カモシカ)に向けての打合せ場所は、
オカズデザインのお二人の蒜山のおうちで・・・


持参したうつわに料理を盛ってもらい、


お箸を手に
12月の料理について意見交換してきました。
   


一時間程やりとりしていくうちに、
互いの中に
12月のイメージが膨らんでいきます。



広葉樹に囲まれ、
近くを流れる小川のせせらぎや
森中に響き渡る小鳥の鳴き声に癒されながら、
たわいない話を続ける中で、
展に向けての心構えを整えます。
(打合せは互いの心を解放し、手探りで目的を見出したいと思ってます)



雪のように散りばめられたチーズ

12月の「白い食材を使った冬の食卓」

蒜山「くど」での巡回展も予定しておりますが、
東京・岡山共に、
コロナの感染状況を見ながらの判断になるかと思います。









後ろ姿と佇まい

名作椅子に合わせた食卓や机の依頼を受けることがあります。

時代背景やデザインコンセプトがはっきりしている名作椅子ゆえ、
先ずは時代背景の「お勉強」から・・・
その間待っていただける気の長い(心の広い)方からの
注文でなければ受けられない仕事。

先日、納品したテーブルと
ウルムスツールを組み合わせた写真が工房に届きました。

「とても気に入ってます」といった内容のお手紙まで添えて頂き、
ほっと胸をなでおろしています。

当初は、ウルムスツールに合わせて
薄手のテーブルを構想していましたが、
「作業机としても使いたい」という要望に備え、
厚手の天板と脚の中に
「いかに違和感なく薄手のウルムスツールを収めるか」に頭を悩ませました。

75㍉角(厚手の角材)から木取った脚を五角形にし、
その一面(左右あわせて2面)をスツールの板厚にそろえることで、
「眼の錯覚」を利用。(脚がスッキリ見えるように仕立てています)

(天板)和歌山県産のヒノキ
(脚部)岡山県産のクリ

今回はスツールだったので、
「後ろ姿」はありませんが、
テーブルと椅子をとり合わせる時は、
「椅子の後ろ姿」に気を配りながらデザインを進めていきます。
(テーブルに収められた椅子は、後ろ姿しか見えませんから・笑)


                                                (クルミのスピンドルチェア)



                               (イグサ・ヘリンボーン編みの肘掛け椅子)




                                               (ボーエ・モーエンセン「シェーカーチェア」に取り合わせた食卓)


人の立ち姿同様、
「後ろ姿」の佇まいに、
人(品)格は見え隠れするもの。

素敵な後ろ姿に恋されるような椅子を作ってみたい・・・

そう言うぼくは、無防備な作業着(後ろ)姿の毎日です。












プロフィール

HN:
山本美文アトリエ
性別:
非公開

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