シェーカー様式の取っ手


シェーカー様式に学ぶ美しさの源流は、
単に形や簡素なデザインにとどまるものではありません。
僕は、「デザインされたもの」が大の苦手。
誤解されやすいのだけれど、
デザインが嫌いというわけではなくて、
デザインありきの品は、
格好良く映ったりする(ひとめぼれし易い)のだけれど、
使い勝手が気になりだすと
途端に出番が減っちゃうからなのかも。

一方、品を売ることを目的に作られていないシェーカーの生活具は、
あくまで使い勝手の中で育ってきた形そのもの。
蝋燭が倒れないように考えられた(三脚の利点に基づいた)3本脚の
小テーブルや、清掃を重んじたシェーカー教徒が
掃除し易い(箒が入り易い)ようにデザインされた脚の形等々。
それぞれの形が全て使い勝手に通じています。
だから、使う程に馴染んでいく。

取っ手ひとつ見ても、
その理念は感じとれるはず。

シェーカー様式に学ぶべきは、
形をなぞることではなく、
「使い手に寄り添う」という言葉の真の意味を知ることにあります。

空と雲のエピローグ

つい先日見上げた夕刻の空。

 飛行機雲が発生しやすい条件が満たされてたのかなぁ?

 それにしてもね!

 驚きながら上空を見上げていると、
 近所の人達もみーんな空を見上げてた。
 春の日の岡山の上空を、
 飛行機ってこんなに飛んでたんだぁ~

 読んで字のごとく、
「空想」って絵空事を想うことから始まるもの。
 空を眺めていると、
 瞼にやきついている光景が、
 見上げた空をスクリーンに
 映し出されては消えてゆく。


空だけじゃない・・・
先週旅した「しまなみ海道」の海岸から見た
瀬戸内の空と海の境界線を眺めていると、
目に映る光景に僕の時間は支配され,
ついついその場から離れられなくなってしまう。

海と空が交わるブルーグレーのコントラストが美しすぎる。
漆の世界にあの水平線を宿すことなんて
できるものなのでしょうか。





山陰が面白い理由(わけ)

夏は日本海で海水浴、冬は大山でスキー。
岡山に暮らす僕たちにとって
最も身近なリゾート地と言えば鳥取県。

今年の冬は雪が少なかったので、
大山周辺でも積雪の多い鏡ヶ成スキー場に。
途中の道にも雪がなくてスイスイ行けたのでした。

鏡ヶ成はファミリー向けのゲレンデしかない
小さなスキー場だったけれど、
娘の練習にはとっておきの斜度。
平日だったこともあって、
ゲレンデは ほぼ貸し切り状態。
娘は休みなしで滑っていたけれど、親はへとへと⤵


冬の山陰の味覚はと言えば、
そう

        かに! かに!! かに!!!

        かに刺し!かにしゃぶ!!









瀬戸内海と違って波の荒い日本海ゆえ、

サザエの角(つの)だって 長ーい。



漁港に行けば、
今や高級魚になりつつある「のどぐろ」に

僕のお目当ての「ハタハタ」も。

聞いたことのないお魚、発見!

「イラ」???
どうやって食べるのだろう?!


「ばばちゃん」???????



月刊「専門料理」3月号

月刊「専門料理」を手に取ったのは 今回が初めて。
「専門」という文字を見ただけで、
プロの料理人に向けての本なのだろうと
恐れおののいちゃって、
自分のような素人には手が届かない内容の
料理本だと勝手に思い込んでいたのかも。

気の小さな人間は、とかく「圧倒的なもの」に弱い⤵
「専門」という文字を目にしただけで、
自分など(素人)は見ちゃいけないものだと思い込んでしまったりする。

それに似た思い込みはこれまでも
いっぱいあって、ほとほと 自分にあきれちゃう。
岡山の中心部にある「禁酒会館」は、
その素敵な佇まいから、
今や観光スポットにもなっている木造の洋館。
気になる建物ではあったけれど、
連日のように飲んだくれていた僕は、
「禁酒」という文字に後ろ指をさされるような気分に陥り(笑)、
決して足を踏み入れてはいけない場所だと勝手に思い込んでいたり・・・

思い込みの酷さは、天下一品(悲)!


「専門料理」3月号の特集は、【腕利きシェフたちの新作料理】。

その中に、東京(広尾)から岡山(牛窓)に店を移した
林 冬青さん(イタリアンシェフ)の料理も。
彼のことを紹介してくれたのは、
市内にある中国料理「はすのみ」の加藤さん。
美味しい味を知る料理人同志は、互いにリスペクトできるのかな?

東京(広尾)でイタリアと同じ料理をすることに疑問を感じていたという林さん。
店を瀬戸内に移したことで、
地元の食材からその土地の味を追求していくきっかけを得たのかも。
流通を疑い、
身近な素材から最善の味を求めるのが本来の料理人の姿。
それは、木工とて同じこと。
身近な素材を活かす手立てをほどこしていくことで
その場所でしか作ることのできないかたちがうまれてくるもの。
「地場産業」という言葉を先に立てると、ベクトルは違う方向へと向いていく。

林さんの料理にあわせたサイズ感の
白漆の楕円皿を一緒に考案しながら製作に挑みましたが、
料理人に学びながらうつわを考えることで、
自分の思い込みが消え、料理とうつわの関係性が真っ直ぐ見えてくる。
accaの定番メニュー【舌平目のパイ】を盛った写真が掲載されていますので、
本屋さんに寄る機会がありましたら是非ご覧ください。


※牛窓・オリーブ園の中腹にあるイタリアン「acca」
営業は夜のみで、1日1組(4~6人)コース料理のみ。
なかなか予約がとれないので、早目の予約が必要です。
フレンチのオーベルジュ形式(イタリアンだけど)で、宿泊も可


とりとめのない話

寒(かん)の時期にだけ好んで食べられる魚の代表が
ボラ(だと思う)。

この時期のボラは「くさみ」もなく、
刺身にしても脂がのっていて美味しいし(酢味噌との相性も抜群)、
アラはネギと味噌汁にしても、コクがあって温ったまる。

倉敷辺りでは 寒ブナをミンチにして、
ゴボウやニンジンと炊いて
アツアツのごはんにぶっかける「フナ飯」が郷土料理として有名。
どちらも「寒い時期しか食べない魚」ではあるけれど、
どんな魚だって
実は美味しい時期があるんですよね。
(スーパーばかりで買ってると、旬の味さえわからなくなっちゃう?)



あ! 
魚の話題で思い出した~

         「アトリエ木工房クラス」で登場した
          お魚バージョンのバターナイフ。
 
 パン皿も工房の教室で作られた作品です。
(初めて彫刻刀を握った方が作ったとは思えない出来映え!)
     
     



こちらの「カッティングボード」は、

自然の木の形をいかしたデザインで、
バケットだって切れちゃう長さ(約70㎝)。




デフォルメされたかのような柄が
印象的なスプーンも教室の作品。



そもそも「教える」ことが苦手な僕が
「アトリエ木工房クラス」(木工教室)でできることといえば、
個々の創作の自由を奪わないことに注意することくらい。
週末の工房に通われる方々の
自由な発想を引き出しながら、
創造することの楽しさを
共有できる場をつくることに集中しています。



一方、自分の新作はと言えば、

神戸の三ツ星レストラン「カ セイン」
のために考えたレードル。
スペイン料理の厨房で
シェフ&スタッフと打ち合わせながら
思いついたのが、この形。

つい先日は、
東京(広尾)から牛窓に店を移した
イタリアンの人気店「アッカ」のシェフに楕円の皿を提供したばかり。
(こちらの記事は、「専門料理」という本で紹介される予定)


自分の感性を信じることが作家にとっては大切なのかもしれないけれど、
それだけに頼っていては、
他人(ひと)の意見に耳を傾けられなくなったあげく、
自己中心的なものづくりに陥りかねない(笑)

ナルシシズムに溺る作家の作るものからは、
真の自分らしさが失われてしまいます。
自分を信じることと他者を信じることのバランス感覚を
併せ持つことが問われているようにも思えるのです。






















プロフィール

HN:
山本美文アトリエ
性別:
非公開

P R