国産材(栗の木のテーブルとベンチ)


かつて木工を学んだ信州での日々は、
豊かな森に囲まれての暮らしでもありました。

フクロウ、カモシカ、クマの棲息する 身近な森の木を素材にする自分の仕事が、
結果的にその環境を奪うことにつながる のではないかと、
実のなる木(広葉樹)を 避けていた時期もありましたが、
地域(木曾山中)の人々が、
生活の中で森を育て 、
大地の恩恵を受けながら生きる姿を前に、
それまで口にしていた「自然保護」という言葉は
しだいに僕の中から消え、
森への畏敬の念に従い 、
自然と共に生きる人々の強さを学びました。

針葉樹だけでなく広葉樹にも向き合おうと決めたのは、
誰にでも立木の姿を思い描くことのできる 身近な国産材を選ぶことで、
人は自然という懐のもとに生きているという 確かな実感をも運んでくれるのではないかと思うようになったからです。
その願いは、
木工を学びながら暮らした 中央アルプス山麓での歳月の中で
「木工のあり方」を問い続けた僕自身への 答えであるのかもしれません。

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

プロフィール

HN:
山本美文アトリエ
性別:
非公開

P R