個人的な話ですが、
「ライフスタイル」という言葉を口にすることを控えています。
「時代と共に変わりゆくライフスタイル」
「新しいライフスタイル」
「流行りのライフスタイル」等々、
「ライフスタイルを替える」という言葉が、
家具の買い替えを迫る時の常套句として使われる場面をこれまでも見てきたからです。
ほんの半世紀ほど前まで、
普遍的な木組みの家具を丁寧に作っていた誇り高き職人たちが、
経済主義(使い捨て主義)の名の下で
次々と姿を消し、
見映え重視で、買い替えることを前提として作られるネジ留めの家具が台頭しています。
かつての職人達が誠実に作った証に刻印した「謹製」印を
復刻させたい気分になります!
いつの時代も愛される普遍的な家具は、
これといった特徴(顔)があるわけではありません。
いくら丈夫に仕立てても、
「好み」が分かれるような家具は、
特に、世代が引き継がれる時、
買い替えの原因になりかねません。
決して目立つことはないけれど、
失うと、
寂しさを覚えるような家具でいい。
家具を引き継ぐ時、
使い込まれた家具に刻まれる「家族の時間」ほど美しいものはないことを知るための。