清掃から学ぶこと

「かたづけができないようでは、事故(怪我)も避けられない」
と 清掃の大切さをすり込まれたのは、
専門校時代の教官からでした。

刃物を扱う木工は、常に怪我(けが)と背中合わせ。
大型の木工機械に至っては、
一瞬で指を切断するような事故だって起こりうる。
幸い僕は、木工機械による大怪我を起こしていませんが、
肝を冷やすような出来事は
これまでにも何度かありました。

そんな日は、
工房のかたづけと清掃で
かつての教官の言葉を思い出すことに。







静謐な暮らしの在り方を示した
シェーカーの人々の暮らしに学んだことは、
簡素なデザインや生活スタイルだけではなく、
日々の暮らしの中に
人間らしい室礼(しつらい)を
落とし込んでいたという点にもあります。

日々の清掃を重んじたシェーカー教徒は、
部屋の壁に箒(ほうき)を吊るし、
常にそうじすることを忘れないよう心掛けていました。
清掃を促すために
壁の箒を見える場所にかけていたのでしょうが、
僕には、箒そのものが
そうじの大切さを示唆するオブジェのように見えちゃうのです。

洋書「SHAKER STYLE」より



安全の保持という観点から、
僕の工房でも
シェーカーの室礼に学び、
入口脇に箒を吊るすことに。




朝の清掃に始まり、かたづけで終わる工房の一日。
そうじの仕方は、ひとそれぞれ。

そうじに対する姿勢には、
人それぞれの性質まで見え隠れしちゃう(笑)。
毎日決められたことを時間内にきっちりこなすひともいれば、
曜日によって場所を変え、
そうじの仕方も変えるひともいる。
ただ、
工房から独立して木工家を志す弟子には、
単に安全という観点からだけではなく、
そうじひとつとっても、
工夫を持って想像力を培ってほしいと願うのです。











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