「飾らない暮らし、美しい台所用品」展 ※終了しました

山本美文「飾らない暮らし、美しい台所用品」
2022.6.10(金)~19(日)/ 11:00-19:00
HIN / アーツ&サイエンス京都











































日常使いできる様々な作品に加えて、
アーツアンドサイエンスのオーナーであるソニアパークが選んだ古物に
銘木による蓋をあしらった新たな作品群も展示します。


※6月10日・11日の在店日には、無くしたり欠けてしまった蓋を
   新たに作り直すオーダー会も開催します。
(詳しくは、アーツアンドサイエンス・HINのホームページよりご覧ください)。






グループ展のご案内


クリスマスキャロルが流れ、


新たな年を迎えてすぐのグループ展に参加します。

                         


                          「私と暮らしと台所」
2022.1.3(月)~18(火) ※7日と13日は、お休み

◎初日(1/3)は、入れ替え制※要予約
詳しくは、http://tsuitachi-craft.com よりご覧下さい。

11:00-17:00
〈場所〉朔:倉敷市本町10‐16仁科建築設計事務所・本町ハット

『出展作家』

厚川文子(陶)
アトリエユヌプラス(布)
下本一歩(竹)
正島克哉(陶)
中村智美(鉄)
中山秀斗(竹)
水野正美(銅)
山本美文(木)


案内状には、桜「孔雀杢」のチーズカッターを載せています。

伝統工芸展で見かける「孔雀杢」は黒柿ばかりだったので、
孔雀杢が出ていることに驚かされた桜材。

これまで、桜の「孔雀杢」なんて
見たことも聞いたこともありませんでした。

杢の出た木を集めているわけではありませんが、
木工を続けていると、様々な木と出会います。
見向きもされない木も有れば、銘木として珍重される木もあります。
どんな材からでも木の美しさを引き出す事が木工の役目と心得えたうえで、
さりげなく銘木を使える歓びを体現できる生活具に仕立てることも。

「孔雀杢」のチーズカッターは、1枚限り。

材料倉庫の中で最も高価だった材なので、
一般的なチーズカッターの何倍もの価格になりそう・・・
下手すると、
日本一高価なチーズカッターになりかねないので、
自称「日本一のチーズ好き」を名乗る人を探し出すしかありません・笑
買い手不在で、返品されちゃうかも?

かねてより「町医者のような木工になりたい」というのが僕の夢ですが、
美しさを見分ける眼を「審美眼」と呼ぶのであれば、
審美眼なんて 僕には必要ありません。
どんな木を前にしても、
それぞれの木が人の暮らしを支え、
いつまでも愛されるものに仕立てられる手と眼を養っておきたいだけ。



何年か前の岐阜「本田」に出展し、

好評を得たモミジの共木(ともぎ)が残っていたので、
メープル(楓)とはひと味違った
国産材の木肌を活かしたカッティングボードに。

鉋(かんな)をかけると、
「玉杢」と「リボン杢」がキラキラ光り始めます。
こちらは、2~3点出品する予定。

その他にも、栃の木の包丁スタンドや
殺菌効果のある銀杏の厚板からまな板を準備中。



湿気た刃がすぐに乾くよう、
刃先と根元の2点で包丁を支えられるスタンドにしています。
(裏面は、カッティングボードとしてご利用いただけます)





「ひびきあうもの・2021」を訪ねて



雪をかぶる大山を望み、
一路「ひびきあうもの」展の開催されている
松江の清光院下ギャラリーへ。



初回展から見せてもらってきた「ひびきあうもの」展も、
11回目を迎えるそうです。

企画を担当されている高橋香苗さんからは教えられることばかり。
毎回、展のコンセプトを立て、
それに従って作家とも話し合いを重ねていくそうです。




豊かさの真理を求める彼女の手腕を楽しみに
心の扉(DOOR)を開き、
今回も、展の狙いと今後の工芸のあり方について一時間以上話し込んじゃいました(笑)





こんなことを言うとおこがましいのですが、
企画にむかう高橋さんの眼差しは、
僕が理想とする「手仕事を通して見つめる暮らしへの視点」とも重なります。

昨今、どこに出掛けても同じようなイベント事しか見られなくなったのは、
情報化する社会が弊害になっているだけではなく、
集客数に捉われる主催者と
売上げばかり気にする作家の姿勢に原因があるのかも・・・

高橋さんの手腕の素晴らしさは、
集客や情報に操られることなく、
暮らしの豊かさを問う自らの営みを軸に、
個々の作家の個性を見抜き、
それぞれの特性を活かした地域ならではの音色を求める姿勢にあると思うのです!
彼女はその音色を聴き分けてくれる来場者の明日を信じているようにも映ります。






みんなの意見を集約するイベントは行政に任せ、
その地方ならではの風土に根ざしたものづくり(足元)を見つめることでで響きあう
ハーモニーを奏でてみたい・・・
そんな音色の響く空間を実現するためには、
彼女のような指揮者の役柄が求められますよね!





高橋さん主宰のブックストアと隣接するギャラリースペースに
細川亜衣さん(料理研究家)を迎えた個展からもずいぶん経ちますが、
僕と高橋さんとの間で共通する現在の工芸理念についても話し合い、
ぼんやりとではありますが、
次回展の企画内容が芽生えました。
期日の約束までには至りませんでしたが、
心洗われる提案に心まで震えたのでした。



「ひびきあうもの・2021」は、12/5まで。



「日野百草丸」と座卓

「君は材木、私たちは木の皮の部分が材料になる」

地元の木工が集まって企画した「木曽の木工家たち展」の会場で、
工房を開設したばかりの僕に声をかけて下さる方がいた。

もう、30年以上前の話になる・・・
専門校を出たばかり。
ひとりで仕事も取れずにいたペーペーの木工に、
「うちの工場の横に積み上げているキハダを使って、これから新築する自宅用に(炉を切った)座卓を作ってもらえませんか?」と男性は続けて話しかけてくれた。

願ってもないチャンス!
だけど、交渉事に慣れていない僕の返答はシドロモドロだったに違いない。
思い返せば、20代の若造(木工)の何が気に入って声をかけてくれたのかさえよくわからない。
(やる気だけは誰よりも満ち溢れて見えていたのかな・笑)

数日後、指定された場所に行って初めて、
そこが「日野百草丸」の工場だと知ることに(国道19号線沿いの看板はよく見かけていたけれど)。そして、その男性が日野製薬の社長であることも。

表面の外皮を剥くと見える、中の黄色い部分が「黄檗」と呼ばれる
漢方の原料になるとお聞きし、いただいた薬のサンプルを口にすると、
「良薬口に苦し」の語源の意味まで即時体感できた・笑



オウバクエキスは、健胃・整腸・腸内殺菌に効くという。

(製薬会社にとっての)残りものになる木の部分を家具にするという循環にも関心を抱きながら、その頃持っていた全てのスキルを総動員して家具の製作に当たった日々が懐かしい。

他に仕事のなかった僕の納期は順調で、遅れ気味の新築が完成する前に納品できたので、
まだ切り取られていない掘りごたつの部分の上に、さっさと納品して帰っちゃうあたりも、若さゆえの行動。今考えると、現場監督にちゃんとご挨拶して帰ったのかさえ不安に思えて、冷汗が出てきそうになる・・・







「来客の間」に納めた別の座卓の写真は、ポジが行方不明。
耳付きの板を2枚寄せ合わせた座卓中央のすき間の下に据えた花器に季節の花を活けることで、
座卓(天板)の中央部に浮かぶ花から暦を感じらとれる座卓に仕立てた。
木祖・藪原の森に佇む一軒家に訪ねてこられる来客との間を、今も野花が取りもってくれているだろうか?



小鳥の詩(うた)を唄いたい

ロクロも漆も習ったことのない木工は、
小鳥に倣って器を作ります。


お手本で頭に描くのは、




       小枝を集めた巣の形状。


器の「格好良さ」(デザイン性)ばかりに気を取られ、
自分らしさを追いかければ追いかけるほど
遠ざかっていく永遠性・・・

小鳥はいつもヒナのために巣作りをします。

守りやすい形もさることながら、
自然のリズムに耳を傾けていなければ、
ヒナは生きていくことさえできなくなるのです。

「生」のリアリティを持った形状は、
必然的に「永遠性」を帯びるものなのでしょう。

プロフィール

HN:
山本美文アトリエ
性別:
非公開

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