工具と木工の心得


木工は、工具あっての仕事。
一般的に、
鑿(のみ)や鉋(かんな)に使われる刃物は
「日本製がよく切れる」とされている。
日本刀で培われた文化が
鑿や鉋にも周到されているので、
確かに言われるとおり。
日本の刃物に勝る工具はなかなか見当たらない。


ならば、
工具さえ揃えれば、
いいものができるのかというと
そうはいかないのがものづくりの難しいところ。

高価なカメラを持てば、
いい写真が撮れると思い込むのと同じで、
いくら高価な工具を揃えてみても、
木の性質を見抜ける目と
道具を使いこなせる手を持ち合わせていないと
「宝の持ち腐れ」と笑われかねない世界。

心の眼を据えてファインダーを通せば、
どんな安価なカメラでも
人の心を揺さぶる場面が写し出せるように、
ものづくりとしての心を育てていけば、
刃物も必然的に生きてくるはず。
技術ばかり自慢するような心持ちでは
「さもしい木工」と呼ばれるのがオチ。

「まずは姿勢を正して」
それは木工に限らず、
等身大の自分と向き合い、
その時々の適切な課題に挑む
きっかけを掴むための第一歩になると思うのです。







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