デザイン論を消化する

「バウハウス時代のウルムスツールに合うテーブルを作って欲しい」
   という依頼(宿題)を受けていました。

ウルムスツールをスケールアップさせただけのテーブルでは、
デザインの盗用になりかねないし、
自分の役目を試すことにもつながらない・・・

只、バウハウスのデザイン論を
自分なりに消化しなくては
とっかかりにさえ歩み寄れないので、
バウハウスについて勉強し直しました(汗)

 注文を受けてから、
 その間待ってもらうことに。

バウハウス・デザイン論を頭の片隅に置き、
テーブルを妄想し続けていると、
ある日(突然)、
ウルムスツールをセットした
テーブルの青写真が頭に降りてくる日がやってきた~~~
(一年以上かかっちゃいましたけど・・・)

そうなれば、しめたもの。

頭の中の青写真から
図面を起こし、
模型にしていきます。

作業にも使われるとお聞きしていたので、
丈夫だけれど、
きりっと直線で構成できる五角形の脚を考案。


天板は、
ウルムスツール(針葉樹)に併せ和歌山産の檜(ひのき)、
脚は、
岡山県産の栗(くり)の木で

 模型を完成させます。
(4客のウルムスツールが収まるサイズに)


後は、
模型を基に
日本の気候風土に合った組み手(蟻桟&ほぞ組み)で
実寸にスケールアップするだけ。

先日 塗装を終えたテーブルを
九州に納品しました。














パンセ

「本田」の10周年を祝って、
工房で書き留めたパンセを30篇ほど届けました。

手仕事の合間に、
その時々の心情を「なぐり書き」しただけの文面ゆえ、
「詩」と呼ぶにはおこがましいし、
「短章」と呼べるほどの深い内容もありません。
ただ、
時流に流されない(自分が自分らしくある)ための
碇(いかり)を下ろすような作業です。

30篇の内から何点かを選んで
冊子にまとめて下さるそうです。
拙い文面ですが、
手仕事に由来するパンセが
来場してくださる皆様に届きますように(願)


                 
                  「本田」にポツンと置かれていた
                     片足の折れた聖人像を工房に持ち帰り
                     修繕して以来
                     雨の日も風の日も
                     ぼくの仕事を見守ってくれている










               
                 ベレー帽につぶらな瞳の彼
                 ぼくのベレー好きを知ってか知らぬか
              「岡山に連れて帰ってもらえたら嬉しいです」
                 と店主に誘われ
                 パリから岐阜経由でやってきたテディベア
              「ボンジュール、異国の職人さん」
                 隣に寄り添う甘~い視線の彼女がぼくに微笑みかけてくれる













         
                     技巧に溺れず
                     伝統に甘んじないよう
                     日々の修練に身を尽くす

                     理念に捉われず
                     あらゆる場面でノンポリシーを貫くために
                     目を閉じ
                     孤独をうたい
                     生活を賛美する











            木の葉から滴る雫に差し伸べる掌のかたちが
            うつわのフォルムを写しだす
            生命の欲求は
            時に
            かたちを通し
            命を結ぶ









            天然酵母のパンをこねる職人の手
            海上でバランス良く網を引く漁師の手
            農薬に頼らず雑草をむしる農家の手
            誠実な仕事には少しの辛抱と根気が必要だ
            それでも
            便利さにかまけず
            手仕事に従っている限り
            仕事への向上心が涸れてしまうことはない






【profile】

「低空飛行を愉しむ」が信条

    誰よりも低く
    地面スレスレを飛び回っていたい
    いつだって
    一番遠く離れた場所から青空を見上げるために
         
                                        




















工房の食器棚から

6 / 27日から始まる岐阜・本田のテーマ(宿題)は「お盆とお膳」

居間(家族が共有する場所)を広く据える現代建築では、
独りの時間を愉める場所まで失われてしまいがち・・・
でも、
工夫次第で(お盆やお膳を使えば)、
目の前に、
独りのための小さな空間が簡単に作れちゃう!



食器を運ぶための道具から
独りの空間を切り取るためのアイテムに。

膳と(自分好みの)うつわを揃えれば、
お酒の時間だって
グッと満足感が増します。
(工房の食器棚から実践済み・笑)


「おうち時間(大人の時間)」を愉しみましょう!


時を受けとめる力

今日、岐阜(本田)に作品を配送しました。

6~70点のお盆と膳を梱包しましたが、
工房で使ってきた「漆の練り台」と
古道具市で買い求め、

 参考品(資料)として修繕し、ストックしていた
「朱膳」を特別出品します。



時間を刻んだ骨董の器物(酒器や茶器)を受けとめるには、
同じように時間を刻んできた骨董の盆や膳がマッチするのでしょうが、
あえて現代の物を使うことで、
過去と現在を結び、
今から始まる暮らしの物語を刻んでもらいたいとも願います。



普通のお盆や膳では、
骨董品の持つパワーを受けとめる力がないと思ったので、
木の持つエネルギー(杢)を利用したり、


 
  手仕事のテクスチャー(質感)から
「朱膳」に匹敵するエネルギーを注ぎこんでみたり・・・


   
      「山本美文展」 
2020.6.27(土)~7.12(日)    ※(木)・(金)休み
12:00-18:00
(在廊日)7.4(土)            岐阜市「本田」







漆工房での日々


工房脇の坪庭が鮮やかな梅雨の色に。

室(ムロ)の湿度と温度を調整しなくても
漆が硬化するこの季節を喜んでいるのは、
塗師か、恵みの雨を待つ農家くらいなのかも?

6月27日から始まる岐阜市「本田」での個展に向けて、
早朝から漆工房に入り、
深夜まで室の番人の如く張り付いているので、
工房で暮らしているといっても疑われないはず・笑
(仮眠用の折り畳みベッド&寝袋も常備)

四半世紀使ってきた漆工房の机には、

気がつけば、
満天の星が描かれていた(笑)


長く使ってきた道具は、

使い込めば使い込むほど
美しさを帯び、

パン屋の景品でもらった真っ白なスープ椀?でさえ、
漆工房の道具にすれば、

こんな色に染まっていく。

そろそろ作り直そうかと思っていた
「漆の練り台」を

「盆と敷膳」がテーマの
岐阜での個展に特別出品するつもりですが、
これまで道具を展示したことはないので、
売値をどうすればいいのか?さっぱりわからず、
毎日、練り台とにらめっこ。






プロフィール

HN:
山本美文アトリエ
性別:
非公開

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