工房の食器棚から

6 / 27日から始まる岐阜・本田のテーマ(宿題)は「お盆とお膳」

居間(家族が共有する場所)を広く据える現代建築では、
独りの時間を愉める場所まで失われてしまいがち・・・
でも、
工夫次第で(お盆やお膳を使えば)、
目の前に、
独りのための小さな空間が簡単に作れちゃう!



食器を運ぶための道具から
独りの空間を切り取るためのアイテムに。

膳と(自分好みの)うつわを揃えれば、
お酒の時間だって
グッと満足感が増します。
(工房の食器棚から実践済み・笑)


「おうち時間(大人の時間)」を愉しみましょう!


時を受けとめる力

今日、岐阜(本田)に作品を配送しました。

6~70点のお盆と膳を梱包しましたが、
工房で使ってきた「漆の練り台」と
古道具市で買い求め、

 参考品(資料)として修繕し、ストックしていた
「朱膳」を特別出品します。



時間を刻んだ骨董の器物(酒器や茶器)を受けとめるには、
同じように時間を刻んできた骨董の盆や膳がマッチするのでしょうが、
あえて現代の物を使うことで、
過去と現在を結び、
今から始まる暮らしの物語を刻んでもらいたいとも願います。



普通のお盆や膳では、
骨董品の持つパワーを受けとめる力がないと思ったので、
木の持つエネルギー(杢)を利用したり、


 
  手仕事のテクスチャー(質感)から
「朱膳」に匹敵するエネルギーを注ぎこんでみたり・・・


   
      「山本美文展」 
2020.6.27(土)~7.12(日)    ※(木)・(金)休み
12:00-18:00
(在廊日)7.4(土)            岐阜市「本田」







漆工房での日々


工房脇の坪庭が鮮やかな梅雨の色に。

室(ムロ)の湿度と温度を調整しなくても
漆が硬化するこの季節を喜んでいるのは、
塗師か、恵みの雨を待つ農家くらいなのかも?

6月27日から始まる岐阜市「本田」での個展に向けて、
早朝から漆工房に入り、
深夜まで室の番人の如く張り付いているので、
工房で暮らしているといっても疑われないはず・笑
(仮眠用の折り畳みベッド&寝袋も常備)

四半世紀使ってきた漆工房の机には、

気がつけば、
満天の星が描かれていた(笑)


長く使ってきた道具は、

使い込めば使い込むほど
美しさを帯び、

パン屋の景品でもらった真っ白なスープ椀?でさえ、
漆工房の道具にすれば、

こんな色に染まっていく。

そろそろ作り直そうかと思っていた
「漆の練り台」を

「盆と敷膳」がテーマの
岐阜での個展に特別出品するつもりですが、
これまで道具を展示したことはないので、
売値をどうすればいいのか?さっぱりわからず、
毎日、練り台とにらめっこ。






個展のお知らせ

4月・5月の展示会は、
オンラインのみでの販売になったため、
対面してご説明できず残念でしたが、
普段出向くことのできない遠方からの注文もあり驚きました。
厳しい社会状況においても、
工芸を愉しんで下さる皆さまに、
心より御礼申し上げます。

「三密」を避けてのかたちにはなりそうですが・・・
6月末からの個展に向け準備しております。


2020.6.27(土)~7.12(日) ※(木)・(金 )休み
           山本美文展       岐阜市「本田」


                                                                                                漆練り台 / 白デルフト小壺   
                                                                                                     写真提供「本田」

(場所)「本田 」   岐阜市上太田町1-7 醸造会館1F
(在廊日)7 / 4(土)

本田さんのブログ(hondakeiichiro.blog58.fc2.com)に
10年前(開店前)の日の出来事が書かれていました。
あの日のことは、僕もよく覚えています。
もう10周年なんですね。
たった10年という歳月の中で、
「本田」は、有名になっちゃいましたね~~~(凄い!)
自分の事のように嬉しいです。
10周年のお祝いも兼ねて、
本展に向けてのパンセ(詩)を綴りました。
恵さんが冊子にまとめて、会場に置いてくれるようです。
(本田ご夫妻のまえがき&編集後記も読んでみたい!)


今回の展の宿題は、「盆と敷膳」
本田さんの審美眼が選び出す国内外の
骨董(器物)との組み合わせを楽しみに
盆と膳に向き合っています。





                                                        白漆角膳 / 平佐焼白磁急須、阿蘭陀煎茶杯
                                                                         写真提供「本田」





骨董の世界では、
現代モノを使うことがタブー視されがちですが、
時代のある「下手(げて)」と現代の「下手」を組合わせて、
「上手(じょうて)」に挑んでみたいですね!













クラフト~9(約束)

将来の夢を、自らの力で切り開ける人だっている。
もともと持っているエネルギー量の違いで、
羽ばたけるタイプの人たちだ。

僕のように、エネルギーほぼ0カロリーの人間は、
羽ばたくことさえできない「他力本願タイプ」・・・
木工を始めたのだって、
偶然出会った画家のアトリエで、
木彫の小鳥を削る先生の姿に憧れたのがきっかけだったのだから。
以来、先生が天寿を全うされるまでの
約35年の間に教わってきた「美意識」を
僕なりに解釈して(引き継いで)きたに過ぎません。
アトリエで交わした会話や先生との約束を果たしたくて
今日も僕は木を削り、漆を練っています。




ものづくりを長く続けてきた職人の言葉を求めて
時折「座右の銘」を尋ねられることがあります。
子供の頃から目標や夢を持ったことのない僕は、
いつも戸惑い、
う~~~~~~~ん、「座右の銘」というわけではありませんが、
幼稚園:年長組の時の先生から教わった
「あいさつをしましょう」
「ともだちをたいせつにしましょう」
「やくそくをまもりましょう」
この3つだけを守ってます!
と答えるのですが、
たいてい次の話題に振られてしまいます・笑


慕っていた画家のアトリエの片づけ(遺品整理)している時、
奥様よりいただいた木彫の小鳥用の型紙。
その型紙を僕の工房に持ち帰ったものの、木取りさえできずにいました。
憧れの存在を形にしてしまうと、先生との距離感まで縮まってしまいそうで(怖くて)・・・
そんな意気地なしに、
ある日、天からの啓示が降りてきます。
懸命に頑張るひとりの少女の話を耳にした時、
「その娘(こ)の掌に小鳥を持たせてあげなさい」
という先生からの言葉が、確かに聞こえてきたのです。
その瞬間、
僕の中に、一羽の鳥が浮かびます。

先生に薦められて移住した
信州の山岳に棲息する雷鳥の姿でした。

(おわり)





























プロフィール

HN:
山本美文アトリエ
性別:
非公開

P R