伊藤まさこさんとほぼ日のやさしいタオル

「ほぼ日刊イトイ新聞」ってご存知ですか?

 情報にうとーい僕が、
「ほぼ日刊イトイ新聞のことを知らなかった」
 と言っても驚かれないと思いますが、
「12月初旬の牛窓オリーブ園と
 僕の工房が、ほぼ日刊イトイ新聞の中の 
 ~やさしいタオル~2014~15冬
 の撮影場所に選ばれました」
 と言うと、
 とっても驚かれます。

スタイリストは、伊藤まさこさん。



オリーブの小径で、
次々と撮影場面を作り上げていく
伊藤さんのセンスには
只只驚くばかり。



取っ手付きのティッシュ・キャリアボックスも
伊藤さんの手にかかれば、美しいタオル入れに早変わり。







なにせ、伊藤さんは器用なんです(たぶん)。
以前伊藤さんから戴いた竹かご皿は、
彼女が竹かご教室で作ったものだそうで、
「意外にできちゃった」と言うのだから、
 さぞ 先生も驚かれたことでしょうね。






タオルの撮影が無事終了。
工房での記念写真。
実はこの後、伊藤さんの手料理をいただけることになったのですが、
手際のよさと白漆のうつわを使いこなすセンスにも驚くばかり。
詳しくは、またの機会にでも。

       山本美文

工房裏の畑で収穫した落花生

千葉から弟子を志願してやって来たスタッフがいた頃、
本場の落花生の美味しい食べ方を教わりました。
春先のふき味噌同様
フライパンで胡麻油に味噌とお酒をからめて炒め、
アツアツのご飯にのせれば、
立派なおかず(保存食)にもなる。

土の中で育つ落花生は、
育てるのだってお手軽。
放っておいても、

元気に育つし、
収穫したら、茹でるだけでも充分美味しい。


南青山 Drawing Numbers

テント下のベイビーボウルセットの前で
立ち止まった一人の女性。
5月のクラフトフェアまつもとでのこと。
一度は立ち去ったものの、同じ場所で再び
ベイビーボウルセットを手にしている。



「南青山の洋服屋ですが、作品を取り扱わせてもらえませんか」
と名刺を差し出される。
「工房の仕事は手いっぱいの状態です」
と現状をお伝えしたものの、
「どうしてもお客様に届けたいんです」
と詰め寄られた。
「10セットだけでもオーダーさせてください」
「納期も急ぎません」
引き下がらず、真っすぐこちらを見て話しかける瞳からは
彼女の熱意がひしひしと伝わってくる。

若い女性に詰め寄られると弱いことを知っている妻は
うしろでニコニコ見ていたようだけど、
弱いのは女性だけではない、
若い男性にも弱いのだ。
商売勘定抜きで作品を求める真っすぐな瞳に
やられちゃうのだ。
それは、若い時にだけ許される
アプローチなのかもしれないけれど、
真っすぐな瞳をもつ若者に出会えるのもクラフトフェアの
楽しみになっているのだから、歳を感じちゃう(笑)。

            山本 美文

廃盤とデッドストック

僕が小学生の頃流行していたサイフォン式の
コーヒードリップ。
ある日、
我が家にもサイフォンとミルの家庭用セットが
父親のお歳暮品として届いた。

コーヒーは苦くて飲めない小学生でも、
クツクツ沸いたお湯が細い筒を昇って
コーヒーとして落とされる様は、
理科の実験でも見ているかのようで興味深かった。
ただ、
かたづけの面倒なサイフォン式は
時代とともに便利なペーパードリップ式に変わり、
サイフォンが一般家庭から姿を消して久しい。



それからも、KONOS Coffee Mill TOKYO
と刻印されたコーヒーミルだけは、
我が家の朝の必需品として活躍している。
(TOKYOの刻印が時代を彷彿させますねぇ。)

持ち易くて使い勝手の良い形が気に入って、
当初は父親が使っていたのを譲り受け、
今日まで買い換えることなく約40年近く
使い込んできた。
数年前、
東京でクラフトショップを経営されている中川ちえさんが
これと同じコーヒーミルを入手し、
お気に入りの道具として使われているという記事を
目にしたことがある。
まだお会いしたことはないけれど、
道具の取り持つ縁を信じて
「ミル友」(コーヒーミル友達の略)になれる日でも
待つことにしよう!

愛用のミルは浮気心を抱かぬまま使ってきたものの、
コーヒー豆をストックするための入れ物に関しては
定まらなかった。
茶筒、ビン、木箱等々、
数々試してみたけれど
しっくりくるものが探せなくて・・・

ところが偶然は突然やってくるもの。
吉祥寺のサムエルワルツで見つけたのがこちらのカン。



ストックホルムと刻印された
コーヒー豆200g用のカンは、
漆の朱にも似た色合いで日本的にも写る。
迷わず持ち帰ることに決めた。
それにしても、TOKYOにしろSTOCKHOLMにしろ、
ただのmade inの刻印好き?と誤解されちゃいそうだけど、
まあいいか、気に入ったのだから!


偶然といえば先日、
瀬戸(愛知)から岡山に移住された
陶芸家夫婦の仕事場を訪ねた折、
おとなりの日用雑貨の店を紹介され、店内に。
そこには70年代~80年代の日用品が
当時のまま並べられていた。
よくよく見ていると、かつて我が家にあった柄の
サイフォンが目にとまった。
もしやと思い、ガラスケースの奥の方をさぐると
やっぱりあった!
我が家で愛用してきたものと同じコーヒーミルだ!

当時の価格がそのまま貼られていたデッドストック品が
こちら

  左「デッドストックミル2号」、右「ミル1号40年選手」

瀬戸内の澄んだ空と海の青



工房から15分程 車を走らすと
牛窓(うしまど)という小さな港町に着きます。
いにしえの牛窓は、万葉集にも「風待ち、潮待ちの港」
として登場する歴史深い街。




近年はヨットハーバーも完備され、
リゾート地としても人気のスポットです。
ただ、
遠くから眺める瀬戸内海は美しく写るけれど、
夏の海水浴に行けば、年々汚れていく海の現実に
直面してしまいます。



子供の頃見ていた海の青は
絵の具の青より青く、
その透きとおった海の青に
誘われるかのように出向いた身近な海。

少年は、
海中にあるはずの海の青を探そうと
何度も何度も海の底まで潜ってみたけれど、
海の中に青色は探せず、
海中から海面に浮き上がろうとしたとき見上げた空の青が、
水面に写りこんで
海の青を照らしていることに気づいた。
そして、澄みきったその青は
透きとおった海水があって初めて
生まれることも知った。

やがて時代は海から澄みきった青を奪い去り、
今では、青という色の概念さえ
変わってしまうほど
身近な海が汚されている。

海岸沿いに立ち、
しばし目の前の海を眺めてみる。
岸辺に押し寄せる波音と沖を行き来する小船の
エンジン音は変わらずとも、
時代とともに変わりゆく海の色に胸が痛む。

              山本 美文

プロフィール

HN:
山本美文アトリエ
性別:
非公開

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