新作の発案

「デザインしてやろう」なんて
 発想したことすらないし、
「美しいデザインでしょう!」って作り手が発すると、
 (い)やらし~い気がしちゃう。

 だって、美しいと感じるか否かは、
 使い手(受け手)だけが享受できる特権なのですから。
 
 7月16日から広島市(マノスガーデン)で始まる
「シェーカー様式・暮らしの道具展」では、
 新作のカトラリーも出展します。


 写真だけ見ると、「???」
 「なに?、これ」って感じ⤵


かつて船材を扱っていた材木店に
眠っていた「タブ」の木は、
油気もあり、水気にも強いのだそうです。
色が桜材に似ていることから、
「タブザクラ」と呼ばれ、
家具材としても使われていたのだとか。

その性質に注目し思いついたのが、

以前から試作を繰り返してきた【包丁スタンド】。

海外製の包丁を囲う(差し込む)木製のスタンドは、
湿気の高い日本の風土に合っていないし、
磁石に張り付けるのは、
刃物がかわいそう・・・

どちらにしても、
サビが怖くて、
使う気になれずにいました。
サビに強くて
包丁が傷まないスタンドを作る為に、
様々な工夫を試してきた結果、
溝に工夫を凝らして、
包丁の刃を2点で支えることに。
10年越しで、
木(溝)も乾き易く、
刃物に優しい包丁スタンドが完成しました。

でも⤵
この調子では、あと2~3件
新作を完成させたら
僕の木工人生が終わっちゃう(笑)







こちらは、パレット型のお皿とベイビースプーン&フォーク。
赤ちゃん用のお椀は、
大抵 丸っこくて厚手のものばかり。
幼い時から伝統的な形の椀を身近に感じて欲しいなぁ~と願いながらも、
高台のある椀は転びやすくて、赤ちゃんには不向き。
まてよ?!
高台を逆手に取れば、

ギュッと差し込んで
固定できる!
椀を固定できれば、
赤ちゃんだって、
より掬(すく)い易いはず!!!


完成したベイビーボウル・セット

栗のパレット皿
山桜の椀
椨(タブ)のベイビースプーン
山桜のベイビーフォーク


「シェーカー様式・暮らしの道具」展
2016.7.16(土)~23(土)
詳しくは、http://manosgarden.com
                  082-294-5660

     木工・山本美文
      衣・アトリエユヌプラス
    かばん・一粒舎
    竹かご・オントルポ
      鉄・中村智美

















 



オーダーメイド

岡山県の中腹部に位置する美星町に、
木製の福祉機器を製作している工房があります。
「となりの工房」代表の沖ちなみさんは古くからの友人で、
年に一度は会食し、
互いの近況を話し合ってきた仲。
 
 僕が信州で木工を始めて間もない頃、
 たしか? 彼女は岐阜の訓練校?の木工科?に
 通われていた?はず??? 
 もう三十年ちかく前のことなので、
 記憶さえあいまいになってしまってるけど・・・

「となりの工房」の仕事内容は、
障害や高齢で身体の自由を奪われてしまった方々の
症状に則した補助器具(車椅子や座位保持装置)を
主に木で製作していくこと。
時にはドクターを介して
入念な打ち合わせの下で作りあげていく
丁寧な彼女の仕事ぶりを目の当たりにして、
それまで安易に口にしていた
「オーダーメイド」という言葉のもつ意味を、
考え直さなくてはいけない気がしたのです。

オーダーメイドのあり方について一から改めようと決めて
参考にしたのが、「テーラー」と呼ばれる
紳士服の仕立て屋さんのとる手順。
    【 寸法どり   】
    【 デザイニング 】
    【 型紙起こし  】
    【 チャコ引き  】
    【  裁断    】
これらの一連の流れと照らし合わせながら作った
「採寸用の椅子」。
先ずは、
採寸用の椅子に腰かけてもらい、

【座面の高さ・角度】
【背もたれの角度】
【肘掛けの高さと傾斜角】
 を身体に合わせて試してもらいます。
最後に、
背中の丸みとS字カーブを採寸させてもらうわけですが、
「テーラーメジャー」と呼ばれる巻き尺を
首元にかけた木工の姿に驚かれることも(笑)




椅子のデザインは、背のカーブに合わせて
1本1本削り込めるスピンドルタイプにすることにして
出来上がったのが、こちらの椅子。

試作品に1度座ってもらってから
完成品へと導くため、
通常作る椅子の倍以上のお値段にはなりますが、
座り心地のよい木の椅子をお探しの方々から
ひきあいのある「オーダーメイドの椅子」になりました。









     







シェーカー様式の家具

シェーカー様式「暮らしの道具」展
2016.7.16(土)~23(土)
11:00-18:00(最終日は16:00まで)


MANOS GARDEN:広島市西観音町11-7 2F
082(294)5660

初日(16日)は、家具の受注も直接承ります。
(現在、6か月~1年程お待ちいただいておりますが、
 この機会に是非、ご相談頂ければ幸いです)


これまでに注文いただいた
シェーカー様式の家具を一部
写真にてご紹介します。










































※写真の家具はこれまでにオーダーメイドしたもので、
広島に出展するものとは異なります。

ichi-cafe  岸圭子写真展


 

  岡山ルネスホールから会場を
  ichi-cafe(中区東山)に移し、
  明日(7月1日)から
  岸圭子写真展が開催されます。
 
 ※ルネスとは異なる写真も
  展示されるみたいですよ。
  
 
  食はいのち、 
  食は生きることの基本です。
  そうしてささやかな活動を
  半生通じて続けてまいりました。
  かぞえで95歳を迎えた今、
  ひとつの出会いが
  また次の出会いへと結ばれて
  融合し、うねりとなって、
  どこまでも広がっているのを
  実感しています。
  ~今、この場所で
  いのち尽きるまで。
  私は「今」を生きてます。

  
  生前の佐藤初女(はつめ)さんの言葉が
  書き下ろされた本「いのちをむすぶ」に
  副えられた写真が並びます。

  ご縁をいただき、
  会場(ichi-cafe)入口正面に
 「おむすび膳」を
  展示させてもらえることに。










(内緒話その1)
ichi-cafeの木の看板は、
鉄道の枕木に使われていたほど
水に強い栗材を使用(open時に頼まれて製作したもの)
室内に入って看板の裏側を覗き込むと、

  白い階段から続くドアに
  ichi-cafe オープン時の年号(est.)を
  刻んだ小さな彫刻作品が!!!
  え~、 
  悪戯(いたずら)にしか見えない~?







展初日は、写真家の岸さん、
本の構成を担当された石丸さん(笠岡市出身)が
お二人で在廊されるそうです。
僕は一足先に サイン本をget!!!

展覧会は、7月29日まで(土・日・祝はお休み)

(内緒話その2)
 お店では、

「焼きいりこ」でおだしをとった期間限定メニューも
 食べられるとか。(詳しくは、お問い合わせ下さい)
        086-273-7336 ichi-cafe









鉋(かんな)の仕事

「端材(はざい)利用」=木工の間で時折耳にする用語。
            この言葉を聞くたびに
            やるせな~い気分に陥ってしまう。

「家具を作った端材で作る小物」
 なんて
 そもそも、発想がくたびれている⤵
(小品を下に見てるとしか思えない!)

木工としての力量は、先ず
1枚の板から部材を取るための
「木取り」という作業で 試されるもの。

その板の木目や木理を見定めながら
家具材と小物の材を同等に扱ってこそ、
小さな部材に至るまで
「適材適所」という光を浴びせることができる。
端材を出さぬよう
大小(家具&小物)の部材を併せて木取っていくことが大切だ。




栃(とち)の木は、
板目でも柾目でもない
波状に輝く模様「杢(もく)」が現れると銘木扱いされ、

「縮み杢」と呼ばれる模様は特に珍重される。

鉋(かんな)をかける前の状態ではくすんでいても、

       ひとたび鉋をかけると、

         キラキラ輝く絹肌に

 




 工期を短縮する(経済を優先する?)あまり、
 鉋(かんな)を使えない大工が増えてきているのだとか・・・
 いずれ、
 鉋を使わない家具職人も出てくるに違いない(既にいるのかも?)
 
 鉋(かんな)だって、
「超仕上げ」と呼ばれる大型機械が出現して以来、
 昔から使われてきた鉋を「手鉋(てがんな)」と
 呼ばなくてはならない始末。

「乱菊」と刻印された鉋の刃(左手)は、
 工房で30年ちかく研いできたもの。
(随分短くなっちゃいました)
 このまま研ぎ続ければ、
 数年の内に鉋の寿命を全うする(はず)。
 
 

刃物の良し悪しはよくわからないけど、
上手く研げた刃で木を削った時の爽快感はたまらない!
鉋クズまでいとおしく思えちゃう(笑)

鉋をとおして木の性質を覚えていくことでしか
「木工の手」は育ちません。
鉋を使わない木工がまかりとおるご時世では、
「正直な手仕事」だってフェイクされていくに違いない。
「手仕事風の仕上げ」とか?(怪し~い)








7月16日からの広島(マノス・ガーデン)展には
手鉋で仕上げた栃の木のカッティングボードを
間に合わせたいと思います。



【シェーカー様式・暮らしの道具】 山本美文展
2016.7.16(土)~23(土) ※初日在廊予定
11:00-18:00 最終日は、16:00まで

(賛助出品)
 衣:    アトリエ ユヌプラス
 かばん:  一粒舎
 竹かご:  オントルポ
 鉄:    中村智美
 
   





 


 




プロフィール

HN:
山本美文アトリエ
性別:
非公開

P R