春の調べ【craft 四重奏】


信州に暮らしていた頃、
針葉樹林の闇に咲く山吹が暖かな
春の訪れを知らせてくれた。

瀬戸内の陽光に輝く黄色とは対照的だけれど、
その色合いが
僕の記憶を過去へと巻き戻し、
木曽と岡山の時間を繋いでくれる。


間もなくクラフトフェアのシーズン。
今年もクラフトフェアへの出展の予定はありませんが、
倉敷「フェリシテ」での四人展【craft 四重奏】の期間中に
フィールドオブクラフト倉敷(21日・22日)が開催されます。
芸文館広場(FOC倉敷会場)からフェリシテまでは、
歩いて5分、足を伸ばしてみてください。

       
       【craft 四重奏】
5月20日(金)~29日(日)    場所:フェリシテ(倉敷市本町10-6)
                      http//www.kct.ne.jp/~flct/index.html
                      086-423-5277
      岡澤悦子(長野・陶)
      棚橋祐介(岐阜・陶)
      宮下香代(愛知・和紙造形)
      山本美文(岡山・木と漆)

   




アームチェア

ここのところ シェーカー様式の家具の写真を
連続してアップしてきたので、
今回は、オリジナルのアームチェアをご紹介します。



リビングで暮らす時間が増えた
現代の生活スタイルに
合わせて考案したアームチェア。

木の座面でも、
座の角度・背もたれの傾斜角・
座ぐり(座面の成形)の
バランスを整えれば、
お尻の痛くない椅子ができます。

座を編んだ椅子では味わえない
無垢材ならではの経年変化を愉しめるので、
使う込む程に愛着が深まっていく椅子です。

無垢の木の座面なら、
夏場だって蒸れないし、
冬場も成形合板のように冷たくなりません。

                 サイズもゆったり。




オーダーメイドゆえ、
お客様からの要望は多種多様。
栗材のテーブルの前には栗のアームチェア、
同様に楓(カエデ)材、胡桃(クルミ)材も
テーブルと椅子の材質を揃えています。

(要望にも、応えられる範囲で対応しています・笑)

笠木(背もたれ)の数を増やし、
漆で仕上げたり、


              座面を革張りに仕立てたことも。

クルミのキッチン


  クルミ材100%のオーダーメイドのキッチンは、
  倉敷の設計事務所(佐渡基宏建築アトリエ)との
  コラボレーション。


代々受け継がれてきた欧州諸国の家具に習い、
合板や金具(引き出し用のレールなど)類は使わず、
木を組んで構成し、
側板・裏板・底板に至るまで
手鉋(かんな)で仕立てています。
(金具や合板は湿気に弱いので、水回りが苦手です)


島(アイランド部)の片側は、
キッチン用具を収納するための
引き出しと食洗機。




ダイニングテーブル側は、
生活用具の収納スペース。
(オーディオ機器も扉の中に)






こちらのお宅もクルミ材を使用。

サイズやはめこむ機器は、
設計事務所からの図面に従い、
材質の選定から木組みの構成を考えていきます。

下請けの仕事ができるほど器用ではないので、
決められた建築家としかご一緒できませんが、
時間も手も足りないので、
キッチンの製作は、
たまの仕事くらいで良い加減です(笑)。



シェーカー家具のようなキッチンからは、
凛とした空気が漂ってきます。

島(アイランド部)がとれない
一列式の場合は、
こちらに流しを取り付けます。




島(アイランド部)を設置できる
スペースがあれば、

調理スペースにも余裕ができます。






どうしても作ってほしい!と頼まれた流しの蓋。
外すと、まな板になります。
(取り付けたままでも使用可)










「簡素な美しさ」を学ぶために


 20代の頃通った木曽の専門校で初めて作らせてもらった
 シェーカー様式のラウンドテーブル。


特にシェーカー家具にこだわっているわけではないけれど、
いつの時代も愛され続けているものには
何かしらの理由があるはず・・・

それを自分の掌(てのひら)から学びたくて、
専門校を卒業してからも家具を連作しています。
ただ、学べど学べど次の課題が現れちゃうから、
終点は未だ見えず⤵

手仕事の奥の深さが身にしみるばかり。


脚の径まで最小限にとどめるのは、
デザインという観念からではなくて
「1本の樹から1台でも多くの家具を作る」
という理念から。




ここまで削ぎ落とせるなら、
デザインという概念さえ必要ない?
と思わされる栗材のラック(タオル掛け)。




たった19㍉の厚みでも
十分耐えうるクルミ材のベンチ








材質は、適材適所が貫かれている。
広葉樹、針葉樹、多種多様。
棚は軽い針葉樹で。







必然性(使い勝手)から生まれてくる形に従うだけの簡素なもの。

蓋(ふた)を開けて、
ブランケット(毛布など)をしまいこめる
クルミ材のチェスト。





小さなサイドテーブルは、
引き出し付き。




暖かな陽射しの届く場所に置かれた
食卓とクルミ材のスピンドルチェア。








4月(大阪)の二人展、中止のお知らせ

4月19日から大阪で予定されていた二人展を、
服部さん(graf)の一身上の都合により
中止することになりました。
僕自身も心待ちにしていた二人展でしたが、
延期を含め再検討してまいりますので、
日程等決まりましたら
あらためてご案内申し上げます。

二人展に向けて準備してきた作品は、
光と影から生じる陰影をテーマにした白漆の器たち。


今年度の高校の教科書(現代文B)に取り上げられる
谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」文中(白漆)の※注釈で
白漆椀の写真が引用されることに決まり、
あらためて本を読み返したことが
テーマを定めるきっかけになりました。

































「光と影」が醸し出す奥行きと白漆のうつわのConcerto


















プロフィール

HN:
山本美文アトリエ
性別:
非公開

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