白い春

桜が舞い、
利休梅の白い春がやってきました。

畑には

蝶と見間違う 
さやエンドウの花

華やかさはないけれど、
白い春が暖かな春の陽射しを呼び込んでくれます。


白い屋根色のミニに降り注ぐ
瀬戸内の陽光が

まぶしい季節を迎えます。







「簡素な美しさ」を愛でる心



木曾の専門校時代の教官に、
「シンプルなデザインを学びたいなら、
 シェーカー家具を題材にしてみなさい」
と薦められて以来、
気になるシェーカー家具を復元しては
ものづくりの手本としてきました。



頭で覚える知識に対して、
手から学ぶべきは 
誠実なものづくりの姿勢にあります。

組みあげる度に
シェーカー教徒の唱えていた一言一言が身に沁みます。

Be faithful with your hands.(自らの手に誠実でありなさい)

Do your work as though you had a thousand years to live,
and as if you were to die tomorrow.(千年生きるつもりで仕事しなさい、
もし明日死ぬとしてもその仕事を)



「デザイン」という概念を持たないシェーカー・クラフツマンは、
「有用性」から必然の形を探っていたのかもしれません。

Beauty rests on utility.(美は有用性に宿る)

All beauty that has not a foundaition in use, soon grows distasteful,
and needs continual replacement with something new.
(有用性に支えられていない全ての美は、やがて味気ないものになり、
 いつも何か目新しい代わりのものが必要になってくる)

産業革命以後の経済観念と誠実な手仕事が結び付きづらい要因まで
読み解ける言葉ですよね。
(そして、何よりも経済が優先される我が国で誠実な手仕事を続けることの
 難しさを知ります・笑)

ネット上には挙がらないはずですが、
シェーカー様式の家具の注文が続いております。
(工房の仕事を手伝ってくれそうな方を求人したい!!!)











Rhythm ~幾重にも重なる野花のように~

にぎわう人出が苦手な僕は、
「お花見」に出掛ける機会もなく、
遠くの山に点在する桜を眺めたり、
駆け抜ける車の窓に舞う桜吹雪を見るのが関の山。

華やかな場所へは向かない足だけど、
足下に咲く野花を観察し、
小さな春を探しています。

華やかさはないけれど、
可憐に重なる草花が春の風に揺れるように、

ジャズのスタンダードナンバー「テイクファイブ」が、
繰り返し重ねられるフレーズを5/4拍子に刻むことで
より鮮明に人の心に届くように、

無造作に重ねられた器の形象にだって

人の愛すべきリズムが秘められている。







「牛窓クラフト散歩」2019

信州から故郷の岡山に工房を移設した20年前、
岡山では、まだ「クラフト」という言葉が一般化されていませんでした。
(備前焼に代表される伝統工芸や倉敷に根付く民芸のことは知られていても、
「クラフト」の認識度がまだまだ低かったように思います)

お手伝いをしていた「クラフトフェアまつもと」が
全国誌等々に取り上げられることも多かったので、
勿論、通の方々の間では話題になっていたとは思いますが、
松本のように、一般の方々にまで「クラフト」という言葉は
浸透していない印象を受けました。

その後、建築家の友人を「クラフトフェアまつもと」に誘ったことが呼び水になり、
「フィールドオブクラフト倉敷」を立ち上げ、
バトンを渡した次世代の実行委員の努力も実を結び、
今では、岡山でも「クラフト」という言葉が日常的に使われるまでになりました。

クラフトフェアは、クラフト(手工芸)のすそ野を広げる役目を担います。

最終的な目的は伝統工芸や民芸などと同様、
作り手の歩むべき道筋を立て、
手工芸全体の枠を広げることにあります。
更には、伝統工芸・民芸・クラフトなどといったジャンルの枠(垣根)を
低くすることで、岡山の手工芸のレベルアップに結びつくのかもしれません。

先ずは、「クラフト」自体がしっかりとした基盤を築くことから
始めなくてはお話にもなりません。
そこで、岡山に「クラフト」を根付かせるための
〈クラフト三段跳び!!!〉なるものを勝手に構想しました・笑

ホップは、「フィールドオブクラフト倉敷」
ステップは、街並みの民家や空きスペースをギャラリーに見立て、
作り手と使い手がより身近に感じられる場を設けた「牛窓クラフト散歩」。
(クラフトフェアでは行き届かない、作り手と使い手の親密性を基本コンセプトにしています)

クラフトフェアですそ野を広げ、
牛窓で親密な関係性を紡ぐための小さな物語を経て、
着地点をのぞみます。

ビエンナーレ(隔年開催)で続けてきた
「牛窓クラフト散歩」も3回を終え、
次の第4回展を迎えるための会議を重ねていた折も折、
昨年7月の集中豪雨が岡山を襲いました。
それを境に、
実行委員会での議論は、
「第4回展開催事項」から「被災地支援(クラフトフェアの在り方)」へと移っていきました。

「牛窓クラフト散歩2019」を中止するに至った経緯につきましては、
事務局の公式ホームページにも書かれています。
(下の 牛窓クラフト散歩2019 をクリック)

牛窓クラフト散歩2019

「そら豆」のように

桜の便りを待ってたかのように
寒気が日本列島を覆い、
ここ数日は「花冷え」しています。

岡山もご多分に漏れず冷え込んでいますが、
そんな工房に心温まる贈り物が届きました。

スタイリストの友人が海外で集めた木のカトラリーたち。

過日の東京滞在中にお会いする約束をしていたものの、
なにせお忙しい方なので、
こちらからの(当日)アポなんて取る勇気さえ持てず、
躊躇しておりました。

届いた品には、
「かたづけをしていたら、山本さんのお役に立ちそうな
 カトラリーが出てきたので送ります。」の一筆まで。
「うち2本は、スウェーデンのものづくり学校の売店で買った新品」だそうです。

工房の木工教室に通われている方にも熱烈な「白いもの」ファンがいらっしゃるので、
ブログに載せれば、披露せざるえなくなるかも・・・(笑)

道具性の高いカトラリーは、
料理や調理法によって様々なフォルムが生み出されます。

もちろん、正面の形も気になりますが、
側面の曲線を読み解くことで、
それぞれの用途にまで作り手の想像は及びます。

料理人やスタイリストとも、
「お役に立ちたい」という心構えで接しさえすれば、
相手も気軽に心を開いてくれます(実は、教えられる事ばかり)。
自分の経験値に固執してしまっていては、誰からも学べなくなっちゃいますから・笑

陽光の下に育つ「そら豆」のように

大きな空に向かってすくすく歩みたいな!

今日から「そら豆」君を師匠に!!!(宣言)



「そら豆」に恋して木彫した、
 オリーブの木の「そら豆」君たちにも手を合わせます(拝)












プロフィール

HN:
山本美文アトリエ
性別:
非公開

P R